【SA9日】 SA州で羊毛の生産量と羊の頭数が激減しており、多くの毛刈り職人が他州や海外で仕事を探したり、業界から離れることを検討している状況となっている。長引く干ばつや生産コストの上昇などが背景にあるようだ。
オーストラリア羊毛ネットワークのSA州部長のミラー氏によると、長引く干ばつにより飼料コストがかさみ、多くの生産者が羊の頭数を削減していると指摘している。
SA州で羊毛農家を営むポール・オスター氏は、羊毛生産者、毛刈り職人、トレーナー、請負業者とさまざまな立場から業界をみてきた。以前は上手くスケジュールを組めば、年間を通じて何とか生計を立てられたが、今は選択肢が限られているという。また、スタッフたちは非常に優秀だが、「自分たちの将来はどうなるのか」と不安を感じており、閑散期はセンターリンク(福祉手当)に頼るという選択肢が最善の策になるとは考えてもいなかったと語った。
オーストラリア毛刈り請負業者協会の訓練責任者であるヘインズ氏は、「SA州では今後、労働力の約20%を失うことになると思う」と話した。同氏は、2023年に訓練セッションを増やし労働力不足に対応しようとしたが、すぐに「供給過多」の状況に陥り、現在は国内で毛刈り職人が仕事を見つけるのは非常に難しいと話した。
オーストラリア羊毛予測委員会によると、今年の国内の羊毛生産量は前年比で約12%減となる見通しだ。来年度にはさらに8.4%減となることが予測されており、SA州とWA州では18.4%減と大幅な減少となりそうだ。2025/26年度の国内の推定生産量は2億5,660キログラムと1900年代初頭以来の最低水準まで落ち込むとみられている。
ソース:abc.net.au-Drought impacts South Australia’s wool industry, leaving shearers without work