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賃貸物件絡みの詐欺が増加 QLD州

【QLD19日】   深刻な住宅危機の中、賃貸物件絡みの詐欺が増えている。被害者は住む場所だけでなく、金銭も失っている。

サイモン・アレクサンダーさん(39)は、看護学校に通うためQLD州地方グーメリからサンシャイン・コーストに移り住んだ。最初に入居した賃貸物件は、同居人のまた貸しがわかって2週間で退去させられた。次の物件はSNSのフェイスブックで見つけた。貸し手は家の中をビデオ電話で見せ、アレクサンダーさんはボンド(敷金)1,200ドル、前金で家賃600ドル、さらに個人情報も提示した。引っ越しの際にすでに住人がいると発覚し、住人は家の所有者で、広告を出した人物の認識はなかった。詐欺師はアレクサンダーさんと同年齢で、フェイスブック上でたくさんの友人を持ち、信用できると思った。次に見つけた物件も同様で、住人は誰かが自宅を貸そうとしているとは考えもしなかった。

アレクサンダーさんは度重なる詐欺により4,000ドル以上失い、ホームレスになった。看護コースの費用捻出も難しく、辞めざるをならなかった。ホームレスになってからは路上で盗難にあったり、武装集団に追いかけられたこともある。支援機関も限界に達しており、住居省からテント購入用にギフトバウチャーを渡された。

昨年、QLD州で賃貸物件関連の詐欺被害額は3倍近くに上昇した。昨年11月から今年3月の月額被害額は2,280ドルから4,683ドルに倍増した。被害額は同州が全国で最も高く、全国平均をおよそ60パーセント上回る。

QLD州に基盤を置く慈善団体IDCAREのキャシー・サンズトロム広報官は「犯罪者は、偽のSNSアカウントを作るだけでなく、実在の人物のアカウントを使って正当を装う」と警告する。賃貸物件詐欺の60パーセントがSNSによるもので、このうち80パーセントは海外の犯罪組織による。

サンシャインコーストのポーラ・フォードさんも同様にフェイスブックで賃貸物件を探したが、貸し手と会おうとするたびに100ドルのギフトカードを求められた。国税局(ATO)で借金の取り立てをした経験を持つフォードさんは、すぐに詐欺と察した。

QLD州の住宅賃貸契約局(RTA)は、賃貸契約絡みの詐欺はフェアトレーディングまたは警察に通報するよう勧告する。また、州内の賃貸物件の90パーセント以上は不動産会社が管理しているとして、物件の履歴や広告主を調べるよう促す。貸し手は、金銭の支払いが発生する前に賃貸契約書のコピーを渡さなければならず、 “申し込み費用“も請求できない。

ソース:abc.net.au- Queenslanders lose more in rental scams, some victims left homeless

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